「生成AIで建築パースが簡単に作れるようになった」——2025年以降、そうした声を多く耳にするようになりました。実際にツールは目覚ましく進化しています。一方で、設計事務所やデベロッパーのご担当者様からは「AIで十分なのか、それともきちんとしたCGパースを依頼すべきか」というご相談も増えています。
2013年から日本のプロジェクトの建築CGパースに携わってきた制作チームとして、できるだけ公平に「生成AIの現在地」を整理します。先に結論をお伝えすると、生成AIは強力な補助ですが、図面通りの正確さが求められる最終パースには、まだ人の手と判断が欠かせません。
1. 生成AIが得意なこと
まず、生成AIが本当に役立つ場面から整理します。企画の初期段階では、すでに大きな力を発揮します。
- 言葉やラフスケッチから、素早く複数のイメージ案を出せる
- 質感・素材のバリエーションを手軽に検討できる
- ムードやライティングの方向性をつかみやすい
- とにかくスピードが速い
企画初期の「叩き台」や、関係者とのイメージ共有には非常に有効です。この領域では、積極的に活用しない理由はありません。
2. 生成AIが苦手なこと(実務で問題になる点)
ここが本題です。生成AIは”それらしい”画像をつくりますが、建築のルールそのものを理解しているわけではありません。実務では、次のような破綻が起こりやすいことが、業界内でも指摘されています。
- 幾何学的な破綻:窓の数がいつの間にか変わる、柱のない大スパン空間、ファサードの窓比率が不揃い
- 図面との不整合:窓の位置・ドアの高さ・柱の間隔が設計と異なる(AIは構造力学や人体寸法を”理解”していません)
- 光と影の矛盾:影の方向がオブジェクトごとにバラバラになる
- スケール感のずれ:家具や人物の大きさが空間に合わない
- テクスチャの乱れ:タイルの目地が途切れる、木目が不自然に繰り返す
- 複数カット間の不一致:カットごとにスタイルや色温度が揃わない
- 修正の難しさ:部分修正をかけると周囲との色味・光が合わず、再生成のループに陥りやすい
- 権利の不確実性:AI単独生成の画像は、著作権が認められない可能性がある
設計事務所やデベロッパーのご担当者様であれば、こうした破綻は一目で気づかれます。最終提案の場でそれが起きると、パースだけでなく、提案そのものの信頼に関わってしまいます。
3. なぜ最終納品・お客様提案には人のCGパースが必要か
建築パースの本当の役割は、「実際に建つ建物」を、図面の意図通りに、誤解なく伝えることです。プレゼンテーション、お施主様との打ち合わせ、分譲の販促——いずれも”完成予想図”が実物と食い違ってはいけません。
※ 補足:建築確認申請そのものにパースは必須ではありません。パースは主に、プレゼン・お客様との認識合わせ・販促・景観への配慮を示す場面で用いられます。だからこそ、実物と一致していることが重要になります。
図面との整合性を担保するには、窓ひとつ、柱一本まで設計と照合する人の目が要ります。空間のルールを熟知した制作者だからこそ、「この出力は正しいか」を判断できるのです。
4. 現実的な付き合い方 — AIは”補助”、品質は人が担保する
私たちは新しいツールを否定しません。むしろ、初期検討や質感づくりに生成AIを取り入れる流れは合理的だと考えています。実際、「3DCGで構図・空間・ライティングを確定させ、質感づくりをAIで補う」というハイブリッドな考え方は、業界でも語られ始めています。
ただし、お客様にお渡しする最終パースで私たちが保証するのは、見栄えの良さだけではありません。図面通りの正確さと、複数カットでも揃う安定した品質です。
FUTAGO BIM のスタンス
- 2013年以来、日本のプロジェクトに専念してきました
- 図面を正確に読み取り、設計の意図をそのまま映すことを最優先にしています
- 修正は3回まで無料(4回目以降は有料)、通常2営業日で納品します
- 料金は BASIC ¥25,000 / PREMIUM ¥35,000 / PRO ¥50,000 と明示しています
生成AIは、これからも建築ビジュアライゼーションを変えていくでしょう。けれど、「設計の意図を、図面通りに、誤解なく伝える」という最終パースの仕事は、空間を理解した人の判断があってこそ成立します。AIをうまく使いながら、品質は人が担保する——それが、いま現実的な答えだと私たちは考えています。
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