「今日もまた、やるべきことが終わらなかった」。 夜、机に向かったまま、そんなため息をついていませんか。
経営者やフリーランスにとって、忙しさは、ときに勲章のように語られます。けれども、ほんとうのところ、忙しさそのものは何も生みません。利益を生むのは「忙しさ」ではなく、「正しいことに使われた時間」です。
時間は、誰にとっても一日二十四時間。増やすことはできません。けれど、その時間で何をするかは、変えることができます。ここでは、追われる毎日から少しずつ抜け出すための、5つのコツをご紹介します。どれも、今日から始められるものばかりです。
1. 「収入を生む仕事」と「生まない仕事」を分ける
まず、手元のタスクを紙の上で二つに分けてみてください。「収入を生む仕事」と「生まない仕事」です。
提案書を書く、見込み客と話す、商品を磨く——これらは前者です。一方で、経費の入力、何度も来る同じ問い合わせへの返信、終わりのない資料整理は、たいてい後者にあたります。
忙しい人ほど、後者に一日を溶かしてしまいがちです。なくせない仕事だからと、つい自分で抱え込んでしまう。けれど、ここで一度立ち止まって考えたいのは、「この仕事は、本当に私がやるべきものか」という問いです。
リストを眺めて、多くの方が驚かれます。一日の半分以上が、収入を生まない仕事で埋まっていた、と。まずは、ここを「見える化」することから始めましょう。何に時間を使っているか分からないままでは、減らすことも、任せることもできません。
2. その仕事、思いきって「やめる」
二つに分けたリストを見たら、次にしたいのは足し算ではなく、引き算です。
時間に追われている人の多くは、「どうすればもっと速くこなせるか」を考えます。けれど、ほんとうに効くのは、「そもそもやらない」と決めることです。価値を生んでいない仕事を、勇気を持って手放す——これは、時間管理のなかでもっとも見落とされやすい一手です。
惰性で続けている定例会議。誰も読んでいない週次レポート。丁寧すぎる資料の作り込み。「念のため」で続けている仕事ほど、思いきって削ってみてください。一つやめるたびに、その分の時間が、そのまま手元に戻ってきます。
足すのではなく、まず減らす。これが、忙しさから抜け出す最初の、そしていちばん効く一歩です。
3. ゴールと計画を、紙に書き出す
やめる仕事を決めたら、残った時間を「どこに向けるか」をはっきりさせます。
経営者にとっての時間管理の”秘訣”は、実は秘訣でも何でもありません。時間そのものは管理できないが、時間で何をするかは管理できる——ただそれだけです。
そのために欠かせないのが、日・週・月のゴールを、はっきりと書き出しておくこと。今年、いちばん達成したいことは何でしょうか。そのために必要なステップは。何に向かっているのかが見えていなければ、人はただ手を動かすだけになってしまいます。
そして、ゴールが決まったら計画を立てます。知らない土地を横断するのに地図がいるように、事業のゴールにたどり着くにも計画がいります。おすすめは、最終ゴールから始めて、今日まで逆算していくやり方です。「いつかやろう」が、「来週の火曜に、これをやる」に変わります。
4. 「仕組み」にして、自分から切り離す
ゴールと計画ができても、それが毎回あなたの頭の中だけにある状態では、忙しさは終わりません。あなたが動かなければ何も進まない——それが、いちばん危うい状態です。
そこで効いてくるのが、繰り返す仕事を「仕組み」に変えることです。
たとえば、よく来る問い合わせには、返信のテンプレートを用意しておく。新しい依頼が来たときの手順を、チェックリストにまとめておく。請求書の作成や日程調整は、ツールに任せてしまう。一度つくっておけば、次からは「考えずに」回せるようになります。
仕組み化のいいところは、その仕事を、あなたから「切り離せる」ことです。頭の中にしかなかった段取りが、紙やツールの上に乗る。すると、あなた自身が一日中そこに張りついている必要は、なくなります。これが、規模を大きくしても疲れ果てない経営者と、そうでない経営者を分ける境目です。
5. 結果を記録し、見直す
最後は、5つのなかでも、特に大切なコツです。
計画を立てて動き出したら、結果を記録して、ゴールに近づけているかを確かめます。 思うような成果が出ていなければ、ゴールと計画を、一つひとつ見直す。カレンダーを振り返って、毎日を最大限に活かせているかを点検する。
記録があると、感覚ではなく事実で判断できるようになります。「なんとなく忙しい」が、「この曜日の午後に、いつも時間を取られている」と見えてくる。すると、次に何をやめ、何を仕組みにすればいいかが、自然と分かってきます。
記録は、過去を振り返るためだけのものではありません。次の一週間を、より軽くするための材料なのです。
5つすべてを、一度に完璧にする必要はありません。
まずは「1」で仕事を二つに分け、「2」で一つ手放してみる。それだけで、机に向かう時間が、少しだけ静かになるはずです。気になったものひとつから、今日、試してみてください。
なお、ここでご紹介した「分ける・やめる・仕組みにする」という考え方の全体像は、柱記事「経営者の時間管理 — 仕事に追われる毎日を変える「4つの鍵」」でくわしくお話ししています。「収入を生む活動」に時間を集中させるという視点から整理した「忙しいのに、なぜ売上が伸びないのか」とあわせて読むと、より立体的につかめるはずです。
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